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  • 公開日2020-02-13
  • 更新日2022-01-18

子供の歯並びはいつから治療できる?小児矯正の治療法と費用・期間

小児 矯正 費用

小児矯正を受けるにあたって、知っておきたい情報をまとめました。小児矯正を受ける歯医者さん選びや、歯医者さんに相談するときの参考にしてください。 「矯正ではどんな治療を受ける?」「子供が何歳になったら矯正の治療ができる?」「治療にかかる期間はどれくらい?」といった疑問にお答えしています。

【監修】
歯科医師 迎 和彦

【所属】
むかい歯科 【記事読者へのメッセージ】
むかい歯科のコンセプトは3C+1Cです。

• Clean(清潔)
• Comfortability(快適)
• Communication(会話)
• そしてCommunity(地域)

これらが一つでも欠けると皆様が心配なく受診していただく事が出来ないと考えております。
シンプルですがこの3C+1Cをコンセプトに皆様方のお口の健康改善にお役に立つよう日々診療や情報発信に努力しております。

新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた政府の発表を受け、一部の医院において臨時休診または診療時間の変更が生じております。政府から発表される情報等により、急な変更も予測されますため、受診の際には事前に医院にご連絡いただくなど、ご確認をお願いいたします。

1.子供の歯並びの治療法

1-1.子供の矯正のメリットとデメリット

小児矯正のメリット

・口もとのコンプレックスが解消される
・食べ物をしっかりとかむことができる
・虫歯・歯周病になりにくくなる

歯の矯正は、歯並びがよくなる、という見た目のメリットが大きいです。歯並びが子供のコンプレックスになることを防ぐことができます。

そのほか、しっかりと食べ物をかんで食べられるので消化によく、歯磨きがしやすくて虫歯・歯周病を防ぎやすいなど、矯正には見た目だけでなく、機能や健康のメリットもあります。

また、子供の成長を利用した歯の矯正を行うことができます。

小児矯正のデメリット

・治療にかかる費用が高い ・長期間にわたって矯正装置の装着が必要になる ・治療中は虫歯になりやすい

基本的に矯正は保険が利きません。そのため、矯正の治療は高額で、数十万円もの治療費がかかります。治療方法によっては100万円を超えることもあります。

矯正は治療期間が長く、数年間にわたって矯正装置を歯に装着し続けるため、子供がメリットを理解していないとストレスになります。また、矯正装置に食べかすが残りやすく、しっかりと歯磨きができないと虫歯になる可能性があります。

1-2.乳歯と永久歯の治療

子供の矯正は、乳歯や永久歯の生え方で、大きく「第一期治療」と「第二期治療」に分けることができます。それぞれの段階で行える矯正が違うので、注意してください。

■第一期と第二期の治療の違い

第一期治療乳歯と永久歯が生え替わるころに行う矯正治療のこと。治療を通して、永久歯の生えやすい環境づくりを行う。
第二期治療永久歯が生えそろったころから行う矯正治療のこと。歯の移動が必要な治療が行えるようになる。
第一期治療

まだ乳歯しか生えていない子供に対して、矯正治療はあまり行われません。歯医者さんからは、指しゃぶりなどの歯並びに影響するクセなどについてアドバイスを受けられます。

永久歯への生え替わりが始まり、乳歯と永久歯が生えている6歳~11歳ごろに行う矯正治療を「第一期治療」といいます。

第一期治療では、主に永久歯が生えやすい環境をつくるため、あごの骨の改善などを行います。第一期治療の段階では、経過観察を行い、永久歯が生えそろってから本格的な矯正を行うこともあります。

第二期治療

永久歯が生えそろったころから行う矯正治療を「第二期治療」といいます。

第二期治療では、第一期治療ではあまりできない、歯の移動などをともなう矯正治療が行えるようになります。子供の成長によりますが、だいたい11~14歳ころから可能です。

永久歯が生えそろったころになると、あごの骨の成長も一段落つき、骨格の改善は難しくなります。

1-3.歯並びの治療法

治療法には種類がある

歯並びの矯正では、歯に力を長時間かけ続けて、目的の場所へと少しずつ歯を移動させます。歯に力をかけ続けるため、歯に矯正装置を装着します。

歯ではなく、あごの成長を誘導する矯正装置もあります。あごの骨が狭く、歯が正しく生える余裕がないときは、矯正装置を使ってあごを広げます。

矯正装置は、つねに装着し続ける固定式が一般的ですが、中には患者さんが装置を取り外せる可撤式(かてつしき)のものもあります。ただし可撤式は、患者さんが装置を正しく装着する必要があります。

顎を調整する矯正と使用する矯正装置

矯正装置を装着してあごの状態を整え、歯がまっすぐに生えるようにします。歯並びがよくない原因のひとつに、あごの問題があります。あごにすべての歯が生えるだけのスペースがないために、歯並びが乱れてしまうのです。

顎の状態が改善されたら、さらに歯を移動する矯正装置を使用することもあります。

・バイオネーター 下顎の成長を前方へ誘導する装置です。1日中装着し続けるのではなく、帰宅してから自分で装着します。

・急速拡大装置 上顎の骨を外側に広げる装置です。1日1~2回、スクリューを回して、装置を拡大させます。装着する期間は3週間ほどです。骨の成長が活発な時期に装着します。

・拡大装置 下顎の歯を外側へ広げる装置です。急速拡大装置ほど、大きくは拡大しません。1週間に1~2回、スクリューを回して広げ、数カ月間装着を続けます。

歯を移動する矯正と使用する矯正装置

矯正装置を使って歯に力をかけて、目的の位置に移動させます。
お口の状態によっては、矯正装置であごの状態を整えてから行ったり、抜歯してあごにスペースをつくったりしてから、矯正装置を装着します。

マルチブラケット矯正は金属製の装置が一般的ですが、見た目が気になるかたには、目立たない透明の装置もあります。

・マルチブラケット矯正装置(唇側矯正)

マルチブラケット矯正装置

一つひとつの歯の表面に、ブラケットという金具を接着し、それにワイヤーを通して歯を動かします。主に永久歯の矯正で使用し、細かく歯の動きを調整できます。

・舌側矯正装置

舌側矯正装置

歯の裏側にブラケットを装着します。そのため、外から装置が見えにくいというメリットがあります。マルチブラケット矯正装置より歯の移動範囲が狭いため、治療期間が長くなります。

・アライナー型矯正装置(マウスピース型)

アライナー型矯正装置

透明のアライナー(マウスピース)型の装置を歯に装着します。透明なので目立ちにくいです。食事や歯を磨くときは外すことができます。

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2.小児矯正にかかる費用と期間

2-1.子供の矯正は何歳からできる?

第一期治療は、6歳ごろから始められます。永久歯が生え始めたころに、歯医者さんに相談しましょう。

子供が矯正を始める年齢でない場合は、歯並びに影響する指しゃぶりのクセなどをやめるようにしてください。乳歯の虫歯も、永久歯の歯並びに影響します。生え替わるからと放置せずに治療してください。虫歯ができないように歯磨きをすることも大切です。

マルチブラケット矯正装置を使った一般的な矯正は、第二期治療から始まります。永久歯が生えそろう11~14歳が目安です。

2-2.矯正にかかる費用はどれくらい?

矯正治療は自由診療です。そのため、健康保険が利用できる治療と比べて、矯正治療は高額になります。また、治療費も歯医者さんごとに異なっています。そのため、実際に治療を受ける前に、歯科医師と治療費についてよく話し合うことが大切です。

相談・検査・診断・治療にかかる標準的な料金は次のとおりです。

■治療費の目安
第一期治療100,000円~500,000円
第二期治療200,000円~1200,000円

※治療内容によって歯科医院ごとに料金が異なるため、受診する歯科医院に直接お問い合わせください。

■それぞれの矯正費用の目安
マルチブラケット矯正(唇側矯正)300,000円~600,000円
舌側矯正(全体)850,000円~1150,000円
アライナー型矯(マウスピース型)400,000円~850,000円

※矯正費用のほかに、定期検診や保定期間に費用がかかることがあります。
※治療内容によって歯科医院ごとに料金が異なるため、受診する歯科医院に直接お問い合わせください。

患者さんの症状や治療方法によって、治療費が大きく異なるので、目安の範囲を大きく超えることもあります。矯正に使用する装置を目立たないものに換えるなど、特殊な装置を選択するとさらに費用がかかることもあります。

また、第一期治療と第二期治療では、行える矯正方法が違うので、子供が小さなうちに始めたほうがお手ごろ、というわけではありません。第一期治療だけで矯正が終わらず、第二期治療でまた違った治療をすることもあります。その場合、第二期治療の費用を割り引く歯科医院もあります。

2-3.矯正にかかる期間はどれくらい?

歯の矯正には、長い期間を必要とします。矯正装置を使っても、歯は1カ月で約1ミリしか動きません。これ以上は大きく歯を動かせないので、矯正にはどうしても時間がかかってしまいます。

もともとの歯並びや治療方法によって変わりますが、治療期間は1年半~4年ほどが目安です。

2-4.矯正治療の流れ

・相談・診察・検査:1~2カ月 実際に矯正治療を始める前に、歯医者さんの診察や検査を受けます。診察や検査の結果、子供に対してどのような治療を行うのかを決定します。歯医者さんから提案された、治療方法や費用、治療期間に同意をすると治療が始まります。

・治療(矯正装置の装着):1年~2年半 歯並びを治すため、矯正装置を装着します。矯正装置により、少しずつ歯を目的の場所へと動かしてゆきます。矯正装置は、1年~2年半ほどの期間、装着を続けることになります。

矯正装置に食べかすが残りやすいので、装着をする前に、歯磨きの指導が行われることがあります。

・定期検診(矯正装置の調整):1カ月に1回程度 矯正装置を装着している間は、定期的な歯医者さんへの通院が必要です。歯の移動をチェックするほか、必要であれば、矯正装置の調整を行います。定期検診は、1カ月に1回ほどです。

・保定期間(リテーナーの装着):1年~2年半 歯が目的の場所へ移動したら、矯正装置を外して、「後戻り」を防ぐリテーナーという装置を装着します。後戻りとは、矯正した歯がもとの場所へ戻ろうと動くことです。

保定期間(リテーナーの装着期間)は、1年~2年半ほどです。また、保定期間中は、1カ月半~2カ月半ごとに1回の通院が必要です。

・治療完了 保定を終えたら、矯正治療は終了です。治療を終えてからも、きれいな歯を保つため、半年から1年に1度は、歯医者さんで定期検診を受けましょう。

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2-5.不正咬合(よくない歯並び)の種類

歯並びのよくない状態のことを「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。不正咬合は、歯並びによっていくつかの種類に分かれています。症状によって治療法が異なるので、子供がどの状態にあたるのかを確認しておきましょう。

・上顎前突(じょうがくぜんとつ)…出っ歯 前歯が斜め前に向かって生えている、上顎そのものが前に出ている、という状態です。そのため、食べ物がよくかめません。 【原因】遺伝、指しゃぶり、口呼吸など。

・反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)…受け口 上の前歯より前に、下の前歯が出ている状態です。食べ物がよくかめない、サ行やタ行がうまく発音できないという問題があります。 【原因】遺伝、上唇をかむ、舌を突き出すクセ、永久歯の生え替わりなど。

・叢生(そうせい)…乱ぐい歯、八重歯 歯が重なり合うなど、歯並びがでこぼこになっている状態です。多くの場合、犬歯がはみ出した、八重歯の状態になります。最近の子供に多い症状です。 【原因】あごが小さくて、歯の生える場所が足りない。

・空隙歯列(くうげきしれつ)…すきっ歯 歯と歯の間にすき間ができてしまっている状態です。 【原因】歯が小さい、歯の数が少ない、あごが大きいなど。

・開咬(かいこう)…オープンバイト 前歯や側面の歯がかみ合わず、開いてしまっている状態です。症状によっては、食べ物がかみ切れないこともあります。 【原因】指しゃぶり、口呼吸、前歯で下唇や舌をかむクセなど。

・交叉咬合(こうさこうごう)…クロスバイト 上の歯より前に出ている下の歯がある状態です。 【原因】遺伝、ほおづえのクセ、片側だけでかむなど。

・過蓋咬合(かがいこうごう)…ディープバイト 上の前歯が下の前歯を大きく覆っている状態です。下の前歯がすっかり隠れてしまうこともあります。 【原因】虫歯などによる奥歯の欠損。

3.小児矯正の歯医者さんを選ぶポイント

小児 矯正 費用

歯の矯正は、長期間にわたる治療で、費用も高額です。治療を受ける歯医者さんは、時間をかけて、子供を任せられるところを選びましょう。ただ、子供の歯並びで気になることがある、という相談なら、かかりつけの歯医者さんでも大丈夫です。

3-1.矯正専門の歯医者さんに相談する

矯正に対応している歯医者さんには、矯正を専門としているところと、矯正歯科を併設しているところがあります。矯正を専門としている歯医者さんのほうが、その分野に長けているので、さまざまなことを相談できます。

ただ、矯正専門の歯医者さんでも、子供の矯正が得意とは限りません。歯医者さんに予約をする段階で、子供の年齢などを伝えて、対応できるかどうかを確認しましょう。

3-2.説明がわかりやすくて納得できる

納得したうえで治療を受けられるように、説明がわかりやすい歯医者さんを選びましょう。特に、治療にかかる費用や期間の説明は重要です。どれくらい費用がかかるのか、治療期間の見込みはどれくらいかなど、大事なことを治療の前に話してくれないと、のちのちトラブルの原因となります。

また、わからないことや、困っていることがあったら、気軽に相談できる、歯医者さんとの相性のよさも大事です。

3-3. 通いやすさは重要なポイント

できるだけ、家から通いやすい歯医者さんを選びましょう。

矯正装置を装着してからは、歯のチェックや矯正装置の調整で、月に1回の頻度で通院が必要になります。評価の高い歯医者さんでも、自宅から遠いと、通院するのが大変です。子供ひとりで通院することがあるかもしれないので、通いやすさには注意してください。

治療は数年間に及ぶので、通院が苦痛にならないように注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。子供の矯正は将来どのような影響をあたえるか考えると、とても悩みますよね。通院期間や費用など含め、この機会に検討してみてください。


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